マルチシートの種類を徹底比較!色や素材で変わる効果と選び方のポイントもご紹介!

2025年8月26日

家庭菜園や本格的な農業に取り組む上で、作物の生育を助けるマルチシートは非常に便利な資材です。しかし、いざ購入しようとすると、黒や透明、シルバーといった色の違いや、穴あきタイプ、生分解性素材など、あまりの種類の多さに「どれを選べば良いのだろう?」と迷ってしまう方も少なくありません。

適切なマルチシートを選ばないと、期待した効果が得られない場合もあります。本記事では、それぞれのマルチシートが持つ特性や効果を分かりやすく解説し、あなたの目的や作物に最適な一枚を選ぶためのポイントを詳しくご紹介します。

マルトヨ編集部

マルチシートの基本的な役割は4つ

マルチシートの基本的な役割は4つ

マルチシート(マルチングフィルム)は、畑の畝(うね)を覆う農業用資材です。土壌の表面を覆うと、作物の生育に適した環境を整える様々な効果が期待できます。

昔はワラなどが使われていましたが、現在では主にポリエチレン製のフィルムが利用されています。まずは、マルチシートが持つ代表的な役割を理解しておきましょう。

1.地温の調節

マルチシートは、色や素材が持つ光の吸収・透過・反射の特性を利用して、土壌の温度をコントロールする重要な役割を担います。例えば、光をよく通す透明マルチは、太陽熱を土壌に直接伝えて温室のような効果を生み出し、地温を最も高く上昇させます。

これにより、春先のまだ寒い時期でも作物の種の発芽や根の成長を促進できるでしょう。逆に、白黒マルチやシルバーマルチは光を反射するため、夏の高温期に地温が上がりすぎるのを防ぎ、根へのダメージを軽減します。

2.雑草の抑制

黒マルチは太陽光を完全に遮断するため、マルチの下では雑草が光合成を行えず、生育できません。この強力な防草効果により、時間と労力がかかる除草作業を大幅に削減できます。

除草の手間が省けるだけでなく、作物が雑草に土の中の養分や水分を奪われる心配もなくなるでしょう。これにより、作物はストレスなく健やかに成長でき、結果として収穫量の増加にも繋がります。

農薬を使わずに雑草を管理できるため、減農薬栽培や有機栽培においても不可欠な資材です。

3.土壌の保護

マルチシートは、大切な土壌を様々な外的要因から物理的に保護する役割も果たします。雨が降った際の泥はねを効果的に防ぐと、土に含まれる病原菌が葉や茎に付着して病気になるリスクを大きく低減させるでしょう。

また、シートが土の表面を覆うと、水分の蒸発を抑える保湿効果が生まれ、水やりの回数を減らせます。さらに、大雨による肥料成分の流出や土壌そのものの侵食を防ぎ、畝の構造を維持するのにも役立ちます。

なお、家庭菜園用の土作りの方法については、こちらの記事でご紹介しています。

関連記事:【完全版】家庭菜園用の土作りは7ステップ|野菜がよく育つ土質の条件もご紹介! – マルトヨコーポレーション

4.病害虫の抑制

特定のマルチシートは、作物を害虫から守る効果も発揮します。代表的なのがシルバーマルチで、その表面が太陽光を強く反射すると、多くの害虫が嫌う光を広範囲に放ちます。

特に、作物の汁を吸ったりウイルス病を媒介したりするアブラムシやアザミウマ、コナジラミといった害虫は、強い反射光を浴びると方向感覚を失い、畑に寄り付きにくくなるでしょう。この忌避効果を利用すれば、農薬の使用量を減らしながら病害虫の被害を抑えられます。

特に、ウイルス病に弱い作物を栽培する際には非常に有効な手段となり、安全・安心な野菜作りをサポートします。

なお、プランターへの防虫ネットの張り方については、こちらの記事でご紹介しています。

関連記事:プランターの防虫ネットの張り方は5ステップ|家庭菜園の虫被害を防ぐコツもご紹介! – マルトヨコーポレーション

色で選ぶ!代表的なマルチシートの種類は5つ

色で選ぶ!代表的なマルチシートの種類は5つ

マルチシートは色が違うだけで、その効果が大きく変わります。ここでは、代表的な5色のマルチシートの特徴と、それぞれがどのような作物や目的に適しているのかを詳しく解説します。

それぞれのメリットとデメリットを理解し、自分の畑に最適な色を選びましょう。

1.黒マルチ

最も一般的で広く利用されているのが黒マルチです。最大のメリットは、太陽光をほぼ完全に遮断するため、雑草対策の効果が高い点です。

光が届かないため、マルチの下では雑草がほとんど生育できません。また、土壌の水分を適度に保つ保湿効果もあります。

ただし、地温を上げる効果は透明マルチほど高くなく、夏場にはフィルム自体が高温になり、葉に触れると「葉焼け」を起こす可能性があるので注意が必要です。

2.透明マルチ

透明マルチは、光をよく通すため太陽の熱を効率よく土壌に伝え、地温を最も高く上げる効果があります。そのため、春先のまだ寒い時期の種まきや低温期に作物の生育を促進させたい場合に最適です。

一方で、光を通すため雑草を抑制する効果は期待できません。雑草が生えてきた場合はマルチを剥がさずに除草しなければならず、手間がかかる点がデメリットです。

3.シルバーマルチ

シルバーマルチは、太陽光を強く反射する特徴があります。この反射光には地温の上昇を抑える効果と、アブラムシやアザミウマといった害虫を寄せ付けにくくする防虫効果があります。

特に、高温を嫌うホウレンソウやダイコンなどの栽培や、害虫の被害を受けやすいナスの栽培に適しているでしょう。ただし、黒マルチに比べると雑草抑制効果はやや劣ります。

4.白黒マルチ

表面が白、裏面が黒の二層構造になっているのが白黒マルチです。表面の白色が太陽光を反射して地温の上昇を強力に抑え、裏面の黒色が光を遮断して雑草の発生を防ぎます。

地温上昇抑制効果と雑草対策効果を両立できるため、真夏の高温期に栽培する作物に最も適しています。他のマルチに比べて価格がやや高くなる傾向です。

5.緑色マルチ

緑色マルチは、透明マルチと黒マルチの中間的な性質を持っています。適度に光を透過させるため、黒マルチよりは地温を上げる効果があり、透明マルチよりは雑草の抑制効果が期待できるでしょう。

作物の生育に必要な波長の光を通しつつ雑草の生育をある程度抑えたい場合に選択肢となります。しかし、効果が中途半端になりやすい側面もあります。

機能や素材で選ぶマルチシートの種類は3つ

機能や素材で選ぶマルチシートの種類は3つ

色の違いだけでなく、特定の機能を持ったマルチシートや、環境に配慮した素材の製品も増えています。ここでは、作業の効率化や環境負荷の低減につながる、特徴的な3種類のマルチシートをご紹介します。

自分の農作業のスタイルや考え方に合わせて選びましょう。

1.穴あきマルチ(有孔マルチ)

穴あきマルチは、作物を植え付けるための穴が一定の間隔で既に開いている便利なマルチシートです。自分で穴を開ける手間を省けるため、作業時間を大幅に短縮できます。株間が均一になるため生育が揃いやすく、見た目も綺麗に仕上がるでしょう。

ただし、育てたい作物の株に間に合った製品を選ぶ必要があります。複数の作物を一つの畝で育てる場合には不向きな点がデメリットです。

2.生分解性マルチ

生分解性マルチは、デンプンやポリ乳酸などを原料とし、使用後は土壌中の微生物によって水と二酸化炭素に分解される、環境に優しいマルチです。最大のメリットは収穫後に剥ぎ取って廃棄する手間が不要な点にあり、省力化へ大きく貢献します。

一方で、一般的なポリマルチに比べて価格が高く強度がやや劣るため、丁寧に扱う必要があります。

3.紙マルチ・わらマルチ

ポリエチレンフィルム以外にも、自然素材を利用したマルチング方法があります。紙マルチはその名の通り紙でできており、使用後は土にすき込むと分解されます。

また、古くから利用されてきた「敷きわら」も立派なマルチング材です。プラスチック製に比べて保湿性や通気性に優れ、夏場の急激な地温上昇を和らげる効果が高い特徴があります。

最終的には土に還り、土壌を豊かにする効果も期待できます。

マルチシートの選び方のポイントは6つ

マルチシートの選び方のポイントは6つ

ここまで様々な種類のマルチシートを紹介してきましたが、実際に選ぶ際には何を基準にすれば良いか、迷う点もあるかもしれません。ここでは、自分の目的や環境に合わせて最適なマルチシートを選ぶための、具体的な6つのポイントを解説します。

これらのポイントを総合的に考えて、後悔のない選択をしましょう。

1.目的(地温・雑草・防虫)で選ぶ

まず最も重要なのは「何のためにマルチシートを使うのか」という目的を明確にする点です。地温を上げて生育を早めたいなら透明マルチ、とにかく雑草対策の手間を省きたいなら黒マルチ、害虫の飛来を減らしたいならシルバーマルチが第一候補になります。

複数の効果を狙う場合は、白黒マルチのように多機能なタイプも検討しましょう。

2.栽培する作物で選ぶ

作物にはそれぞれ適した生育環境があります。例えば、トマトやナス、キュウリなど高温を好む夏野菜の生育初期には、地温を上げる効果のある黒マルチが有効です。

一方、ホウレンソウやレタス、ダイコンなど夏の高温が苦手な作物の場合は、地温上昇を抑える白黒マルチやシルバーマルチが適しています。

3.栽培する季節で選ぶ

季節も重要な選択基準です。まだ肌寒い春先に植え付けを行う場合は、地温上昇効果の高い透明マルチや黒マルチが活躍します。

逆に、気温が高くなる夏場の栽培では、地温が上がりすぎないように白黒マルチやシルバーマルチ、あるいは敷きわらなどの活用をおすすめします。

4.畑の規模や作業時間で選ぶ

広い面積にマルチを張る場合や、作業時間を短縮したい場合には、穴あきマルチが非常に便利です。植え付けのたびに一つひとつ穴を開ける手間と時間を大幅に削減できます。

自分の農作業にかけられる時間や労力を考えて、効率化できる資材を選ぶ視点も大切です。

5.環境への配慮で選ぶ

使用後のプラスチックごみを減らしたい、環境に優しい農業を実践したいという考えをお持ちの方は、生分解性マルチや紙マルチが最適な選択肢となります。初期コストは高くなりますが、廃棄の手間や費用がかからないメリットもあります。

長期的な視点で、自分の農業スタイルに合うか検討してみましょう。

6.厚みや耐久性で選ぶ

マルチシートには厚みの違いもあり、一般的には0.02mmが標準ですが、より丈夫な0.03mmといった製品もあります。厚いほど破れにくく保温性や耐久性が高まりますが、価格も上がります。

栽培期間が長い作物やマルチの再利用を考えている場合は、少し厚手で丈夫な製品を選ぶと、片付けの際にちぎれて畑にゴミが残るのを防げて安心です。

農具・園芸用品の購入に「マルトヨコーポレーション」がおすすめな理由

農具・園芸用品の購入に「マルトヨコーポレーション」がおすすめな理由

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マルチシートの種類でよくある3つの質問

マルチシートの種類でよくある3つの質問

ここでは、マルチシートの種類でよくある質問をご紹介します。それぞれの内容について詳しくみていきましょう。

質問1.マルチシートの張り方のコツは?

マルチシートを張る際は、風の少ない日を選び、畝の表面を平らにならしておくのが基本です。まずシートの端を土や専用の押さえ具で固定し、たるみが出ないように少し引っ張りながら反対側まで伸ばします。

シートと地面が密着するように両端を溝に埋め込み、しっかりと土をかけて固定すると綺麗に張れるでしょう。隙間があると風でばたついたり、雑草が生える原因になったりします。

質問2.マルチシートを張った後の水やりや追肥はどうするの?

マルチシートを張ると土壌の水分が蒸発しにくくなるため、基本的に水やりの頻度は減ります。水やりが必要な場合は、株元の穴から直接与えます。追肥をする場合は、マルチの片側を少しめくって株の根元周辺に肥料をまき、元に戻す方法が一般的です。

または、カッターなどで切れ込みを入れて、そこから肥料を施す方法もあります。

質問3.生分解性マルチシートは本当に土に還るの?

生分解性マルチは、土の中にいる微生物の働きによって最終的に水と二酸化炭素へ分解されます。ただし、分解される速さは土壌の温度や水分量、微生物の種類といった環境条件によって変わります。

栽培期間中に分解が進みすぎないよう、作物に合った分解速度の製品を選ぶ点が重要です。使用後は、トラクターなどで土にすき込むと分解が促進されます。

まとめ

まとめ

マルチシートは、地温調節、雑草対策、土壌保護、病害虫抑制など、作物の生育を助ける多くのメリットをもたらす優れた農業資材です。シートの種類は多岐にわたりますが、最も重要なのは「色」「機能」「素材」の違いを理解し、自分の目的や育てる作物、季節に合わせて最適なものを選ぶ点です。

黒マルチは雑草抑制、透明マルチは地温上昇、シルバーマルチは防虫と地温抑制に優れています。また、作業を効率化する穴あきマルチや、環境に配慮した生分解性マルチといった選択肢もあります。

今回ご紹介した「選び方の6つのポイント」を参考に、それぞれのメリット・デメリットを比較検討し、あなたの家庭菜園や農業に最適な一枚を見つけて豊かな収穫を目指してください。

なお、マルトヨコーポレーション株式会社は、家庭菜園やガーデニングに初めて挑戦する方におすすめの手軽な園芸用品から、農業を本格的に営むプロの方々が求める高品質な農具・資材まで、幅広く取り揃えている農具・園芸の専門商社です。

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