果樹に肥料は必要?与える時期やおすすめの肥料、与え方まで詳しく解説します!
果樹に肥料を与えるタイミングや種類、与え方などを知りたい方もおられるのではないでしょうか。果樹が健康に育ち、おいしい果実を実らせるためには、適切な肥料が欠かせません。
本記事では、果樹に肥料を与える時期やおすすめの肥料、与え方をご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
果樹に肥料は必要?
果樹は多くの花を咲かせ、豊かな実を結ぶため、ほかの植物に比べて多くの栄養が必要です。たとえば、柑橘類の果樹は「肥料食い」ともいわれ、成長に必要な肥料の量が多いのが特徴です。
また、開花期には白い花を多数つけるため、栄養を大量に消費します。さらに、果樹は地植え、鉢植えともに土壌から養分を吸収して成長しますが、露地栽培が一般的であり、環境変化に強い土壌が求められます。
なお、土壌には、水はけや保水力、有機質の分解と発酵による微生物の活性、ミネラルなどが欠かせません。このため、肥料は有機肥料を中心に使用し、土壌改良を継続的に行う必要があります。
果樹に肥料を与える時期
果樹に肥料を与える時期については、以下のとおりです。
- 基肥
植え付け前に基肥を施すと、樹の初期成長を支え、健全な枝や葉の発育を促せる
- 追肥
植物が活発に成長している時期に追肥を施すのが効果的で、果実の発育をサポートできる
- お礼肥
収穫後にはお礼肥を施し、疲れた樹の回復を図る
このように、適切な時期に適切な肥料を施すのが、果樹の健康と収穫量を最大化するためには欠かせません。また、過剰な肥料は逆効果になる場合があるため、施肥量には注意が必要です。
果樹におすすめな肥料は3つ
次は、果樹におすすめな肥料について解説します。
- 油かす(油粕)
- 鶏糞
- 米ぬか
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.油かす(油粕)
油かす肥料は、ナタネやダイズから油を抽出した後に残るかすが原料の有機肥料です。主な成分は窒素であり、植物の成長を促進します。
さらに、リン酸やカリウムも含まれており、土壌の栄養バランスを整える効果があります。また、野菜や花卉の栽培にも適しており、健康な作物の育成には欠かせません。なお、油かす肥料は、植物由来で環境に優しく、持続可能な農業を支援する役割もあります。
2.鶏糞
鶏糞は、ニワトリの糞を乾燥させた有機肥料で、窒素やリン酸、カリウムが豊富に含まれています。植物の実や花に必要なリン酸が多く含まれているため、果樹や花卉栽培に最適です。
しかし、鶏糞を使用する際は、過剰な使用が果実の品質低下を招く可能性があるため、適量の使用が求められます。また、同じ有機肥料として牛糞が比較されますが、成分や用途が異なります。
牛糞は、土壌改良剤としての役割が大きく、土壌の物理性や微生物環境を改善する効果があるのが特徴です。
3.米ぬか
米ぬかを肥料として利用する際には、2つの方法があります。1つ目は、米ぬかを発酵させてから撒く方法で、EMや発酵促進剤を使用して微生物を発酵させて散布します。
2つ目は、生の米ぬかを畑に撒く方法で、1月などの休眠期には、生の米ぬかをそのまま撒くのが一般的です。しかし、米ぬかの性質を理解して適切に施肥しなければ、窒素飢餓や発酵熱による作物の被害、カビの発生など、さまざまな問題が生じる可能性があります。
果樹の栽培で失敗しないためのポイント
次は、果樹の栽培で失敗しないためのポイントについて解説します。
- 栽培方法
- 病害虫
- 摘蕾・摘果
- 剪定・整枝
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.栽培方法
果樹は、地植えでも鉢植えでも育てられるのが特徴です。それぞれの栽培方法については以下のとおりです。
- 地植え
日当たりがよく、水はけのよい場所を選ぶ。苗は20〜50cmの深さに植え付け、土は腐葉土、赤玉土を混ぜたものを使用する
- 鉢植え
鉢は通気性や排水性に優れた素焼きやテラコッタ製を選び、鉢底に鉢底石を敷いてから用土を入れる。土は、市販の果樹用培養土を使用するのが便利で、植え付けや植え替えは3月~4月が適している
2.病害虫
果樹の栽培には、さまざまな害虫や病気の発生が問題となります。果実の病気としては、そうか病や灰色かび病、黒点病、果実腐敗病などが一般的です。
また、害虫としてはアブラムシ類やサビダニ類、カイガラムシ類、カミキリムシ、エカキムシ、オオタバコガなどがよく見られます。これらの病害虫の被害を最小限に抑えるためには、定期的な農薬や殺虫剤の散布、適切な栽培管理が欠かせません。
3.摘蕾・摘果
果樹のなかには、1つの花房に多数の花芽をつける種類があり、その数が100を超える場合もあります。このため、良質な果実を育てるには、早い段階での摘蕾が大切です。
摘蕾を行うと、残った花芽に栄養が行き渡り、果実の品質が向上します。さらに、春に摘果をしておくと、果実の大きさや味が改善され、最終的に収穫される果物の質が大きく向上します。
4.剪定・整枝
古くなって過度に伸びた枝や重なり合った枝、主枝・亜主枝の背面から伸びる徒長枝、弱く短い垂れ下がった枝を取り除き、適度な枝に整えることが大切です。適切な剪定をすれば、枝間に十分な空間が生まれ、風通しがよくなり、木の内部まで光が届くようになります。
その結果、新しい芽や花芽の発生が促進され、木全体の健康と成長が向上します。
果樹の肥料の与え方
単独の樹木の場合、果樹の枝の先端直下に肥料を施します。肥料を撒くために地面に溝を掘り、肥料を入れた後は必ず土で覆いましょう。
効果を早く出したい場合は、上から水をかけると肥料が溶けやすくなり、効果が高まります。また、複数の樹木がある場合は、幹から離れた場所に肥料を散布しましょう。
こちらも同様に、肥料の上部に土をかぶせ、必要に応じて水を与えると肥料の効果が向上します。
果樹肥料でよくある3つの質問
次は、果樹肥料でよくある質問について解説します。
- 質問1.肥料を与え過ぎるとどうなる?
- 質問2.肥料の成分と働きとは?
- 質問3.初心者でも育てやすい果樹は?
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
質問1.肥料を与え過ぎるとどうなる?
過剰な肥料は、果樹の健康を損ね、果実の品質に悪影響を与える可能性があります。窒素を過剰に与えると、葉の成長が過剰になり、果実の発育が遅れます。
また、土壌中の肥料濃度が高すぎると、植物の根が水分を吸収できなくなり、肥料焼けという現象を引き起こしかねません。その結果、植物は障害を受けたり枯れたりする場合があるため、施肥は適切な量を守りましょう。
質問2.肥料の成分と働きとは?
果樹の成長にはさまざまな栄養素が必要ですが、窒素やリン酸、カリウムの3つが大切な栄養素です。窒素は「葉肥え」として知られ、枝や葉の発育を助ける働きがあり、水と一緒に使用されるとさらに高まります。
リン酸は「実肥え」として、花や実の形成を促進し、枝や葉の過度な成長を抑えるのが特徴です。カリウムは「茎肥え」として、茎や葉の健全な成長をサポートします。
質問3.初心者でも育てやすい果樹は?
果樹は育てる手間がかかると考えられがちですが、植え付け後にほとんど管理が必要ない果樹も存在します。たとえば、病害虫に強く、自家受粉できる果樹は初心者にもおすすめです。
こうした果樹は不測の事態が発生してもあまり影響を受けず、枯れにくいのが特徴です。なお、育てやすい果樹としては、以下が挙げられます。
- ビワ
病害虫の被害が少なく、冬から早春にかけて果実が成熟するため、手をかけずに収穫できる
- クリ
日陰を避け、適度な水やりを心がけるだけで健やかに育つ
- 暖地桜桃
サクラに近い種類であるため、冬場に石灰硫黄合剤とマシン油乳剤をしっかりかければ、栽培は容易にできる。さらに、自家結実性があるため、手間がかからない
なお、家庭菜園におすすめの果物については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【初心者必見】家庭菜園におすすめの果物10選|果物を選ぶポイントも詳しく解説します!
まとめ
本記事では、果樹に肥料を与える時期やおすすめの肥料、与え方をご紹介しました。
果樹は多くの花を咲かせ、豊かな実を結ぶため、ほかの植物に比べて多くの栄養が必要です。肥料を与えるタイミングは、植え付け前の基肥、成長時期に追肥、収穫後にお礼肥が欠かせません。
また、肥料には、植物の成長促進や土壌の栄養バランスを整える油かすや、土壌の物理性や微生物環境を改善する鶏糞があります。それぞれの特徴と果樹の相性を見て、肥料を撒くようにしましょう。
ただし、単独の樹木か複数の樹木かで肥料の与え方が異なるため、注意してください。
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