木酢液とは?農業用途での効果や主な使用方法、選び方のポイントまで詳しく解説します!

2024年4月30日
木酢液とは?農業用途での効果や主な使用方法、選び方のポイントまで詳しく解説します!

木酢液の農業用途での使用方法について気になっている方もおられるのではないでしょうか。木酢液にはさまざまな効果があり、農業用途として幅広く使用されています。

本記事では、農業用途での木酢液の効果や主な使用方法、木酢液を使用する際の注意点について解説しました。また、木酢液の選び方のポイントについても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

マルトヨ編集部

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木酢液とは?

木酢液とは?

木酢液は木炭製造時に生じる水蒸気を冷却して回収した液体です。この液体は、有機酸やアルコール、フェノール類、ビタミン、ミネラルなど200種以上の成分を含み、pH値は2.8〜3.2の間の強酸性です。

木酢液は優れた殺菌・殺虫効果を持ちますが、直接使用すると作物に害を与える可能性があるため、通常は100倍以上に薄めて使用されます。また、透明で黄色い木酢液は農薬としてではなく、お風呂や肌ケアに適した製品としても利用されています。

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農業用途での木酢液の5つの効果

農業用途での木酢液の5つの効果

次に、農業用途での木酢液が持つ効果について解説します。

  • 病気の予防になる
  • 雑草の除去効果がある
  • 害獣の忌避効果がある
  • 土壌改良になる
  • 堆肥の発酵を促進できる

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.病気の予防になる

木酢液には殺菌作用があるため、うどんこ病やモザイク病、いもち病など、カビや細菌が原因で生じる植物の病気を未然に予防する力があります。

これらの病気は発症してからの治療が困難であるため、定期的に木酢液を葉面散布し、健康に生育できる環境の維持に努め、植物が病気にならないように注意することが大切です。

2.雑草の除去効果がある

木酢液で雑草を除去するには、原液から10倍に希釈した木酢液を雑草の成長期に合わせて1〜2回程度、散布するのがおすすめです。

また、除草剤として使用する際は、木酢液を葉の部分に散布するのではなく、根元に注ぐと液体が土中に浸透し、雑草の成長を効果的に抑制できます。さらに、木酢液は水で薄まりやすいため、散布後は少なくとも7時間は雨が降らないことを確認してから実施しましょう。

3.害獣の忌避効果がある

木酢液は焚き火のような独特の焦げたような匂いがするため、ネズミやハクビシン、野良猫などの害獣を遠ざける効果があります。この匂いは害虫に対しても忌避効果を発揮し、アブラムシやセンチュウなどの害虫が作物に近づくのを防ぎます。

そのため、木酢液は作物を保護するだけでなく、農場の通路などにも散布して環境全体を守る手段として有効です。害獣や害虫からの防護には、適切な濃度での使用が推奨されています。

4.土壌改良になる

木酢液を土壌に散布することで、その含有するさまざまな有機物が土中の微生物活動を促進し、土壌が豊かな有機質を含む健康的な状態へと改善されます。

具体的な化学的作用についてはまだ解明されていないものの、木酢液を使用した土壌で育つ植物が健康である点は明らかです。健康的な土壌は、果実の品質や病害虫が発生するリスクを低減し、収穫量や品質の向上につながります。

5.堆肥の発酵を促進できる

木酢液内のアルコール成分が堆肥の発酵促進に寄与しており、栄養豊富な堆肥が作れるだけでなく、家庭の生ゴミを堆肥化する際にも利用可能です。

また、木酢液を加えると堆肥の発酵が加速し、温度の上昇を促します。この結果、発酵が始まっている堆肥を発酵途中に積み替えて、均一に発酵させる作業が早めにできるようになります。

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木酢液の主な使用方法

木酢液の主な使用方法

木酢液の農業での利用方法は多岐にわたりますが、水で希釈して土壌や植物に散布する方法が一般的です。たとえば、葉面散布の場合、1リットルの水に対して木酢液2cc(小さじ1杯)を加えて500倍に希釈し、噴霧器で植物にふりかけます。

重要なのは、葉の表面だけでなく裏面にも均等に液体が行き渡るようにし、土壌にも液滴が落ちる程度にたっぷりと散布する点です。この方法により、植物の成長促進や病害虫の予防、さらには土壌の環境改善に効果を発揮できます。

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木酢液を使用する際の3つの注意点

木酢液を使用する際の3つの注意点

次に、木酢液を使用する際の注意点について解説します。

  • 皮膚に使用しない
  • 直射日光が当たらないようにする
  • 金属製の容器に入れない

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.皮膚に使用しない

園芸用の木酢液を皮膚に使用するのは避けましょう。いぼや水虫治療などの民間療法で木酢液が用いられる話はありますが、医学的な根拠に基づくものではなく、園芸用途に製造された木酢液は人体への使用を前提としていません。

皮膚に直接触れた場合、刺激やアレルギー反応を引き起こす可能性があります。したがって、木酢液を扱う際は、その用途を適切に理解し、安全に使用してください。

2.直射日光が当たらないようにする

木酢液に直射日光が当たると、木酢液の品質が変化しやすくなり、その効果が低下する可能性があります。保管は日光の当たらない冷暗所が理想的ですが、室内であれば常温でも問題ありません。

ただし、子どもやペットが触れないように注意し、安全な場所に置くことが大切です。木酢液は自然由来の製品ではありますが、誤って摂取したり皮膚に直接触れたりすると問題が生じる場合があるため、適切な管理を心がけましょう。

3.金属製の容器に入れない

木酢液に含まれる酸性の成分が金属と反応し、容器を腐食させる場合があります。この反応により、容器に穴が開いたり、木酢液が汚染されたりするおそれがあるため、木酢液はガラス瓶やプラスチック製の容器に入れて保管するのが最適です。

ガラス瓶やプラスチック製の容器は酸性の液体に強く、木酢液の品質を保つのに適しています。

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木酢液の選び方のポイントは3つ

木酢液の選び方のポイントは3つ

次に、木酢液の選び方のポイントについて解説します。

  • 広葉樹が原料のものを選ぶ
  • 沈殿物がないものを選ぶ
  • pH2.8~3.2の間のものを選ぶ

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.広葉樹が原料のものを選ぶ

広葉樹から作られた木酢液は質が良いとされているため、クヌギやナラ、ブナ、などの広葉樹を原料とした木酢液を使用するのがおすすめです。

一方で、ウルシやハゼノキ、クスノキなど、有害な成分を含む植物から作られた木酢液は避ける必要があります。また、建築資材の廃材から作られた木酢液は、重金属や防腐剤などの有害物質を含んでいる可能性があるため、必ずラベルに記載されている原材料を確認してください。

2.沈殿物がないものを選ぶ

品質の良い木酢液は通常、黄赤褐色やワインレッドのような美しい色をしており、透明な色をしています。もし、木酢液が濁っていたり、容器の底に黒色の沈殿物が見られたりする場合、それは十分にろ過されていないか、十分な静置期間を経ていない可能性があります。

また、液体内に浮遊物がある場合も、品質面で問題があるサインです。これらの兆候は、木酢液の品質が低いことを示しているため、選択しないようにしましょう。

3.pH2.8~3.2の間のものを選ぶ

pH値は水素イオン濃度を表し、この数値が小さいほど酸性が強いことを意味します。適切な酸性度を持つ木酢液は、pH2.8から3.2の範囲内にあります。

pH値がこの範囲よりも低い場合、製品の酸性が強く、酢酸などを添加してpHを調整している可能性が高いです。一方で、pH3.5以上の木酢液は水で過剰に薄められている可能性があるため、このような製品も避けましょう。

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木酢液とはでよくある3つの質問

木酢液とはでよくある3つの質問

最後に、木酢液とはでよくある3つの質問を紹介します。

  • 質問1.木酢液と竹酢液の違いは?
  • 質問2.木酢液の用途ごとの希釈割合は?
  • 質問3.木酢液は自分で作れるの?

それぞれについて詳しくみていきましょう。

質問1.木酢液と竹酢液の違いは?

木酢液は木炭製造時に発生する液体を蒸留して得られるのに対し、竹酢液は竹炭を作る過程で得られる液体から作られます。成分は似ていますが、竹酢液はより殺菌力に優れているとされ、採取量が木酢液より少ないため価格が高めに設定されている場合が多いです。

農業利用の観点からは、両者は同様の効果がありますが、どちらを使用するかは、その用途や予算に応じて選びましょう。

質問2.木酢液の用途ごとの希釈割合は?

木酢液の用途ごとに推奨されている希釈割合は以下のとおりです。

  • 堆肥の発酵を促進したい場合:原液を50〜100倍に希釈
    水1リットルに対して木酢液を10〜20ミリリットル加え、堆肥に混ぜ込む。これにより発酵が促進され、質の良い堆肥が得られる
  • 土壌改良に使用する場合:原液を50〜100倍に希釈
    水1リットルに対して木酢液を10〜20ミリリットル加え、土壌に散布する。植物を植える前に施用し、月に1〜2回のペースで継続すると土壌が改良される
  • 植物の病気予防に用いる場合:原液を500〜1000倍に希釈
    水1リットルに対して木酢液を1〜2ミリリットル加え、植物に散布する。病害虫予防に加え、植物の活性化にも効果がある
  • 害獣忌避に使用する場合:原液を2〜5倍に希釈
    水1リットルに対して木酢液を200〜500ミリリットル加え、対象エリアに散布する。濃い希釈液を使用するため、植物への影響に注意が必要

質問3.木酢液は自分で作れるの?

木酢液の自家製造は、専門的な知識と設備が必要であり、自宅での製造は推奨されていません。もし、自作したいという場合、一般的な作り方は以下のとおりです。

  • 広葉樹の原木を炭焼き窯で熱し、木炭を作る
  • 炭焼き窯から出る煙をパイプで導き、冷却する
  • 煙中の水分が液体として凝縮し、これを容器に収集する
  • 収集した液体を6ヶ月程度静置し、上澄みの木酢液を取り出す
  • 最終的に木酢液をろ過して不純物を除去し、保存用の容器に移す

このプロセスは専門的な技術が必要であり、適切な処理をしないと安全性に問題が生じる可能性があります。そのため、自宅での製造よりも、信頼できる製品の購入をおすすめします。

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まとめ

まとめ

本記事では、農業用途での木酢液の効果や主な使用方法、木酢液を使用する際の注意点、木酢液の選び方のポイントについて解説しました。

木酢液は優れた殺菌・殺虫効果を持ちますが、直接使用すると作物に害を与える可能性があるため、適切な割合に希釈して使用してください。また、使用する際は、皮膚への使用は避け、直射日光の当たらない場所でガラス瓶やプラスチック製の容器に入れて保管しましょう。

購入する際は、沈殿物が少なく、かつpH2.8〜3.2の間のもので、広葉樹が原料のものがおすすめです。

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