【初心者必見】いちご(苺)を露地栽培する7つのステップ|メリットやデメリット、注意点を解説!

2024年4月28日
【初心者必見】いちご(苺)を露地栽培する7つのステップ|メリットやデメリット、注意点を解説!

小規模農家や家庭菜園をしている方で、いちごを栽培したいと考えている方もおられるのではないでしょうか。はじめていちごを露地栽培する場合、どのように栽培するのか難しく感じるかもしれません。

そこで、本記事ではいちごを露地栽培するメリット・デメリットやいちごを露地栽培するステップについて解説します。また、いちごを露地栽培する際の注意点についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

マルトヨ編集部
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露地栽培とは?

露地栽培とは?

露地栽培とは、野菜や果物、花などを屋外の自然な環境下で育てる農法です。特別な設備や加温、加湿などを用いずに、自然の気候や土壌の状態を活かして作物を栽培します。

この方法は、季節に応じてさまざまな作物が栽培できるため、旬の食材を楽しめるという特徴があります。また、露地栽培では作物が自然環境に適応する力を育むため、病害虫への抵抗力が強くなる点も特徴です。

さらに、施設栽培に比べて初期投資や維持費が低く、地球環境に優しい農法としても注目されています。

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いちごを露地栽培する3つのメリット

いちごを露地栽培する3つのメリット

次に、いちごを露地栽培するメリットについて解説します。

  • 栽培にかかるコストが抑えられる
  • 自然災害の被害を抑えられる
  • 農地で大規模栽培ができる

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.栽培にかかるコストが抑えられる

露地栽培は高価な温室設備が不要で、基本的な農機具や肥料、農薬、支柱などの資材費のみで栽培が可能です。そのため、農地があればすぐに始められる手軽さも魅力です。

さらに、施設栽培に比べ農機具の選択肢が広く、廉価なものや中古品の使用が可能になるため、よりコストを抑えられます。栽培期間中の運営コストも肥料や農薬の使用、農機具の燃料とメンテナンス費用が主であり、総じて経済的な栽培が実現します。

2.自然災害の被害を抑えられる

施設栽培の場合、地震や大雪などで温室やビニールハウスが破壊されると、復旧には多額の費用が発生します。これにより、地震でハウスが倒壊し、設備復旧の間、収入がほとんどなくなってしまった農家も存在します。

しかし、露地栽培ではそのような設備に依存しないため、災害後の復旧が比較的に容易で、経済的負担も少ないです。露地栽培は自然災害のリスクを抑えつつ、持続可能な農業を実践する選択肢といえます。

3.農地で大規模栽培ができる

露地栽培では、ビニールハウスや温室などの制約を受けないため、広大な農地を利用して作物を植えられます。これにより、一度に大量のいちごが栽培でき、収穫量を増やすことが可能です。

さらに、大規模栽培の実現により、大型農機を用いた耕作や出荷調整の機械化が実現し、労働力の節約とコストの削減ができます。また、広い農地を利用することで、輪作や連作障害の抑制、さらには異なる種類の作物を同時に栽培することで土地の有効活用が図れます。

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いちごを露地栽培する3つのデメリット

いちごを露地栽培する3つのデメリット

次に、いちごを露地栽培するデメリットについて解説します。

  • 自然環境の影響を受けやすい
  • 出荷時期のコントロールが難しい
  • 施設栽培よりも多くの知識が必要になる

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.自然環境の影響を受けやすい

天候の急変や病害虫の発生、さらに害獣による被害は、露地栽培のリスクです。また、その年の気候(低温や猛暑、長雨など)によっても、収穫量の大幅な減少を引き起こす可能性があります。

さらに、作物の生育に最適な時期に合わせての作付けが必要で、収穫時期の調整が難しい点も露地栽培の課題です。加えて、雨天時に作業ができないなど、栽培管理の面での制約もあります。

2.出荷時期のコントロールが難しい

露地栽培は旬の時期以外に供給量が減少するため、市場での単価が上昇する傾向にあります。一方、施設栽培は栽培環境を人工的に調整して栽培時期をコントロールできるため、単価の高い時期に販売することが可能です。

しかし、露地栽培は自然環境に大きく依存するため、このような時期の調整が困難です。結果として、市場の需要に応じて出荷を最適化するのが難しく、価格変動の影響を受けやすくなります。

3.施設栽培よりも多くの知識が必要になる

露地栽培は季節の変化に合わせて栽培する作物を変える必要があるため、多岐にわたる知識が欠かせません。さらに、年ごとに変わる気候条件下で最適な栽培方法を選択するには、高度な知識と経験が求められます。

これは、一貫して特定の環境下で作物を栽培する施設栽培と比較して、より複雑で深い理解が求められます。高品質な作物を安定して大量生産するには、露地栽培固有の課題に対応できる豊富な知識と経験が必要です。

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いちごを露地栽培する7つのステップ

いちごを露地栽培する7つのステップ

次に、いちごを露地栽培する際の7つのステップを紹介します。それぞれについて詳しくみていきましょう。

ステップ1.苗を準備する

秋頃になると、ホームセンターや専門店ではさまざまないちごの苗が販売されます。大切なのは根がしっかりと張り、健康的で大きめの苗を選ぶ点です。

苗を購入する際は、苗が日陰に放置されている状態であったり、水不足で弱っている状態だったりしないか、細心の注意を払う必要があります。また、長期間売れ残っている苗は、肥料不足や老化の問題を抱えている場合があります。

そのため、入荷直後の新鮮な苗を選ぶのが、露地栽培を成功させるポイントです。

ステップ2.土づくり

土づくりは、いちごの苗が最適な条件下で成長するための基盤づくりです。植え付けの約3週間前には土に堆肥や石灰、元肥を混ぜ込むことから始めます。

土になじませるのが重要で、堆肥を先に加えて、1週間後に石灰、さらに翌週に元肥を加えるという順序がおすすめです。質の良い土をつくるには、手間と時間を惜しまず、これらの資材が土にしっかりとなじむようにしなければなりません。

また、苗の植え付けに適した土の形状を整えるために「畝立て」が必要です。畑の土を細長く盛り上げてつくる「畝」によって、いちごの苗が根を張りやすく、成長しやすい環境が整います。

ステップ3.植え付け

苗を植え付ける際は、苗と苗の間隔を30cm確保してください。また、植え付けた直後は、根付きを助けるためにたっぷりと水を与えます。

さらに、苗を植える際は葉の付け根であり、いちごの生長点である「クラウン」と呼ばれる部分が土に埋まらないように浅く植えましょう。この部分を土で覆ってしまうと、苗が正常に成長しなくなるおそれがあります。

また、いちごの花は親株のランナーの反対側で咲くため、ランナーを畝の内側に向けて植えることで、収穫作業がしやすくなります。

ステップ4.追肥・マルチング

苗の活着後と冬を越えて休眠が明ける2月下旬から3月上旬にかけて、化成肥料を株間に追肥します。「1平方メートルあたり50グラム」を目安に施肥しますが、いちごの根に直接肥料を触れさせないように注意が必要です。

肥料が根に直接触れると根が傷み、苗が枯れるおそれがあります。また、追肥後のマルチングは、露地栽培における重要なステップです。

農業用マルチを畝の上に敷くことで、地温を保持し、花芽の成長を促進します。また、マルチングは雨水の跳ね返りを防ぎ、病気や果実の腐敗を抑制する効果があります。

とくに、栄養や水分が雑草に奪われる対策として、雑草の成長を抑える黒色マルチを使用しましょう。

ステップ5.人工授粉

早い時期に花が咲いた場合は、まだミツバチなどが活動していないため、午前中の時間帯にやわらかい筆を使用し、花のなかを筆で軽くなでつける人工受粉が必要です。

もし、受粉が不十分だと硬くておいしさに欠ける奇形果となるリスクがあります。そのため、自然受粉に頼らず人工的に授粉させることで、品質が高くておいしいいちごに育てることが可能です。

ステップ6.ランナー摘み・わき芽かき・摘果

ランナーは株元から伸びる新しい苗の芽で、これが伸びると栄養が分散され、結果としておいしい実が育ちにくいです。そのため、伸びたランナーはこまめに摘み取る必要があります。

ランナーの成長とともにわき芽も活発に伸びますが、これらを放置すると実が小さくなる可能性があります。適切にわき芽をかき取ることで、栄養が本体の成長に集中し、大きく甘い実を育てることが可能です。

また、受粉が不十分で変形した実や小さい実も、早いうちに摘み取りましょう。これらの実を残すと栄養が無駄になり、ほかの健康な実の成長に影響を与える可能性があります。

ランナー摘みやわき芽かき、摘果を適切にすることで、いちごの露地栽培における収穫量と品質の向上につながります。

ステップ7.収穫

開花してから約30〜40日経過すると、いちごの実が熟しはじめます。ただし、赤く色づいたばかりの時点ではまだ酸っぱさが残るため、ヘタまで完全に色づいて十分に熟した状態を見極めることが重要です。

収穫は温度が低く、果実の品質が保たれる午前中が理想的で、収穫を遅らせると鳥やナメクジによる被害のリスクが高まります。また、いちごは収穫後に甘くなるわけではないため、果実が完全に赤くなった時点で迅速に収穫するのが望ましいです。

品種や栽培条件、とくに日照や肥料の管理が、収穫されるいちごの甘さに大きく影響します。

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いちごを露地栽培する際の3つの注意点

いちごを露地栽培する際の3つの注意点

次に、いちごを露地栽培する際の注意点について解説します。

  • 害虫対策
  • 鳥害対策
  • 枯葉の除去

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1.害虫対策

主な害虫であるアブラムシとナメクジは、いちごの生育に大きな影響を与えます。アブラムシは繁殖力が非常に高く、発見次第すぐに駆除する必要があります。

駆除方法については、黄色に誘引されるアブラムシの性質を利用し、黄色い粘着テープを株の周囲に設置するという予防策が効果的です。

また、ナメクジも花や実に直接被害を与えるため、注意しなければなりません。ナメクジを効率的に駆除する方法としては、熱湯を使用する方法があります。さらに、株元に撒いてナメクジを誘い出し、駆除する殺虫剤も市販されています。

2.鳥害対策

成熟した実が赤く色づきはじめると、鳥たちによる食害のリスクが高まります。この鳥害を防ぐには、畝全体を覆う防鳥ネットの設置が有効です。

ただし、防鳥ネットを掛ける際には、いちごの受粉に必要な訪花昆虫が畑に出入りできるよう、メッシュの大きいネットを選ぶ必要があります。ネットはいちごが成熟しはじめる時期に合わせて設置し、収穫が終わるまで留めておきましょう。

3.枯葉の除去

12月頃になると、いちごの葉が赤やオレンジ色に紅葉することがあり、また株元の葉が茶色く枯れる現象が見られます。これらの枯れた葉は光合成しないため、植物にとっては不要な存在です。

枯葉を放置しておくとカビの発生源となり、病気が広がる原因にもなりかねません。そのため、見つけ次第、ハサミを使ってこまめに取り除く必要があります。枯葉を定期的に除去することで病気のリスクを減らし、健康ないちごの成長を促進できます。

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いちごの露地栽培でよくある5つの質問

いちごの露地栽培でよくある5つの質問

最後に、いちごの露地栽培でよくある質問を紹介します。

  • 質問1.いちごの栽培がはじめてでも栽培しやすい品種は?
  • 質問2.いちごの実を傷ませないコツは?
  • 質問3.いちごの糖度を上げる方法は?
  • 質問4.いちごの露地栽培の植え付け時期はいつ?
  • 質問5.いちごをプランターで育てるコツは?

それぞれについて詳しくみていきましょう。

質問1.いちごの栽培がはじめてでも栽培しやすい品種は?

いちご栽培がはじめてでも栽培しやすい品種について、以下が挙げられます。

  • 宝交早生(ほうこうわせ)
    古くから露地栽培用として栽培され、つくりやすさで定評がある。鮮やかな赤色の円錐形果実で、やわらかい果肉で甘酸っぱい
  • あかねっ娘
    「ももいちご」とも称される大粒で桃に似た香りの品種。丸みを帯びた形で、甘み強く酸味は少ない
  • アスカルビー
    奈良県育成の生育旺盛な品種で、露地栽培に適している。光沢のある丸みを帯びた円錐形で、ジューシーな果肉
  • 純ベリー2
    一季なり性でありながら品質改良されたおいしい品種。病気に強く、5~10月まで長期にわたり収穫が可能

これらの品種は、栽培しやすさとおいしさを兼ね備えており、いちご栽培初心者におすすめです。

質問2.いちごの実を傷ませないコツは?

いちごの実を傷つけずに育てるコツとして、黒マルチの上にワラを敷く方法があります。これにより、実が地面に直接触れずに済み、ワラが実を保護する「座布団」となって傷みを防ぎます。

また、水やりは光合成を促進し、実の成長に欠かせないため、適切な水分管理が重要です。無農薬栽培では自然の訪花昆虫による受粉が期待できますが、2月などの早い時期に咲く花は訪花昆虫が少ないため、実がつかない場合が多いです。そのため、早期に咲く花は摘み取るようにしてください。

質問3.いちごの糖度を上げる方法は?

いちごの糖度を上げるためには、以下の3つの方法が有効です。

  • 日当たりの良い場所で育てる
    糖度を上げるためには、日の当たる時間が長い場所を選ぶ。十分な日光を浴びることで、いちごはより甘くなる
  • 冬季の水やりを控える
    冬季に過度に水を与えると糖度が下がる場合がある。冬の間は水やりを控えめにする方が良い
  • 手入れをしっかり行う
    ランナー摘み、わき芽かき、摘果などの手入れを丁寧に行うことで、養分が果実に集中し、糖度の高いいちごを育てられる

これらの方法の実践により、いちごの糖度を高め、甘くおいしい果実を収穫できます。

質問4.いちごの露地栽培の植え付け時期はいつ?

いちごの露地栽培において、植え付けの適切な時期は10月中旬から下旬頃です。この時期に苗を植えることで、翌年の5月から6月頃にかけて収穫を迎えます。

多くの人がいちごを冬の果物として認識していますが、その時期に市場に出回っているいちごは主にハウス栽培によって生産されたものです。露地栽培では、秋に植え付け、冬を越して春に収穫します。

質問5.いちごをプランターで育てるコツは?

いちごをプランターで育てるコツとしては、以下が挙げられます。

  • プランター栽培向きの品種を選ぶ
    プランター栽培向きの品種を選ぶ必要がある。市販されている多くの品種は温室栽培向けのため注意が必要
  • クラウンを埋めないよう注意
    植え付け時、クラウン(茎の基部)が土に埋まらないようにすることが重要。クラウンを埋めてしまうと、苗が枯れてしまう可能性がある
  • いちごの苗はプランターの縁に植える
    苗をプランターの縁に植えることで、ナメクジの被害を防ぎ、収穫しやすくする
  • 肥料(追肥)を与えるのは3月まで
    固形の醗酵油粕を3週間に1回与え、追肥後はバーク堆肥で地表を覆う。4月以降は肥料を控えめにして、実がつきやすくする
  • ランナーを取り除く
    花が咲き、実がなりはじめたら発生するランナーを取り除くことが大切。これにより、花や実への栄養が集中し、おいしくて甘いいちごを育てられる

これらのポイントに注意することで、プランターでのいちご栽培が成功しやすくなります。

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まとめ

まとめ

本記事では、いちごを露地栽培するメリット・デメリットやいちごを露地栽培する際の7つのステップ、いちごを露地栽培する際の注意点について解説しました。

いちごを露地栽培する場合、栽培に必要なコストを抑えられるというメリットがあります。また、

広い農地さえあれば、大規模栽培ができるという点もメリットです。

一方で、自然環境の影響を受けやすく、出荷時期のコントロールが難しいという課題もあるため、ある程度の経験や知識が求められる栽培方法でもあります。

これらのメリット・デメリットを理解し、露地栽培に挑戦してみたい方は、ぜひこの記事を参考に甘くておいしいいちごの栽培にチャレンジしてみてください。

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