緑肥におすすめの植物5選|緑肥のメリット・デメリットや使用する際の注意点を徹底解説!

2024年7月22日
緑肥におすすめの植物5選|緑肥のメリット・デメリットや使用する際の注意点を徹底解説!

緑肥は、作物の成長を助けるだけでなく、土壌の健康を保つのにも非常に有用です。しかし、緑肥の選び方や使い方を間違えると、逆効果になりかねません。

本記事では、緑肥におすすめの植物や緑肥のメリット・デメリット、使用する際の注意点をご紹介します。また、よくある質問も解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

マルトヨ編集部

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緑肥(りょくひ)とは?

緑肥(りょくひ)とは?

「緑肥(りょくひ)」とは、植物そのものを肥料として利用する方法であり、イネ科やマメ科の植物が使用される場合が多いです。作物を栽培し収穫する過程で、土壌中の肥料成分が不足し、窒素や微生物のバランスが崩れる場合があります。

緑肥は、このような土壌の状態を回復させる役割を担っており、土壌に有機成分を供給して、窒素の固定や微生物の増殖を促進するのが特徴です。さらに、土壌の物理的な改善効果もあり、団粒構造の形成や透水性の向上、土壌病害の抑制など、多岐にわたる効果が期待されます。

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緑肥を使用するメリットは3つ

緑肥を使用するメリットは3つ

次は、緑肥を使用するメリットについて解説します。

  • 土壌環境が改善できる
  • 化学肥料の使用量を削減できる
  • 害虫の発生を抑制できる

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

1.土壌環境が改善できる

緑肥作物は、根を深くまで伸ばして、土壌の通気性や排水性を向上させます。また、緑肥を土壌にすき込めば、豊富な有機物が供給され、土壌生物の活動が活発になります。

これにより、土壌の団粒構造が形成されやすくなり、肥沃度が向上するのが特徴です。さらに、緑肥は土壌中の微生物を活性化させ、有機物の分解を促進します。このように、緑肥の使用は土壌の物理的および生物的な特性を大幅に改善し、持続可能な農業に貢献します。

2.化学肥料の使用量を削減できる

窒素固定能力を持つ緑肥作物を栽培すると、窒素肥料の必要量を減らせるため、農業コストの削減にも貢献します。緑肥作物が分解される過程で放出される栄養素は、微生物によって迅速に分解され、植物の根に吸収されるため、効率的に栄養を供給します。

このため、化学肥料を使う場合よりも栄養分がすみやかに土壌に浸透し、植物の成長を促進させやすいです。さらに、緑肥を使用すれば土壌の健康が促進でき、長期的な土壌の肥沃度を維持できます。

3.害虫の発生を抑制できる

緑肥は、農地におけるセンチュウの管理に有効な手段の1つです。一般的に、センチュウ対策には殺センチュウ剤が使用されますが、緑肥でも大きな効果が期待できます。

緑肥を土壌に施用すると、有益な微生物が増え、センチュウの密度が減少します。異なる緑肥が異なるセンチュウに対して効果を持つため、具体的な対策を講じる前に、農業改良普及センターやJAに相談するのがおすすめです。

また、緑肥作物は地上部を茂らせると、センチュウの繁殖を抑え、化合物を通じてその発生を抑制する効果もあります。

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緑肥を使用するデメリットは3つ

緑肥を使用するデメリットは3つ

次は、緑肥を使用するデメリットについて解説します。

  • 周辺環境へ悪影響をおよぼす可能性がある
  • 種子の購入や栽培管理にコストがかかる
  • 生育量が天候や土壌環境に左右される

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

1.周辺環境へ悪影響をおよぼす可能性がある

緑肥が過剰に成長すると、その草が道路や住宅地に侵入し、視界を遮るだけでなく、害虫の発生を助長させるおそれがあります。また、風によって緑肥が飛散し、周囲の農作物や住宅地に影響を与える可能性もあるため、適切な管理が欠かせません。

さらに、緑肥は生育過程で多くの水分や養分を必要とするため、周辺の農作物と競合する可能性も考慮しなければなりません。

2.種子の購入や栽培管理にコストがかかる

緑肥は、土壌の肥沃度を高めるために利用される植物で、その効果を得るためには一定の時間と手間がかかります。播種から成熟までの過程には約半年を要し、その間には適切な栽培管理が求められます。

緑肥の種子は、種類によって価格が異なりますが、一般的に通常の作物の種子よりも高価です。さらに、緑肥の成長を促進し、効果を最大化するためには、土壌の管理や草刈り、追肥などの追加作業が必要であり、これには人件費や機械費がかかります。

このため、緑肥を利用した栽培は、化成肥料を使用した場合に比べてコストが高くなる場合が多いです。しかし、長期的には土壌の質を向上させるため、持続可能な農業の一環として注目されています。

3.生育量が天候や土壌環境に左右される

緑肥は天候の影響を受けやすく、年によって生長や収量にばらつきが生じる場合があり、干ばつや豪雨の年に顕著です。また、圃場の排水性や保水性、土壌のpHなども緑肥の生育に大きく影響を与えます。

このため、毎年の生育状況を記録し、必要に応じて化学肥料を追加するなどの対策が求められます。さらに、一部の緑肥は特定の土壌条件を好むため、適切な栽培環境を整えなければなりません。

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緑肥におすすめの植物5選

次は、緑肥におすすめの植物について紹介します。

  • ヘアリーベッチ(マメ科)
  • クロタラリアネコブキラー(マメ科)
  • ソルゴー/ソルガム(イネ科)
  • 大麦(イネ科)
  • ひまわり(キク科)

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

1.ヘアリーベッチ(マメ科)

1.ヘアリーベッチ(マメ科)

参考:ヘアリーベッチ|雪印株式会社

「ヘアリーベッチ」は、雑草抑制効果を持つ成分シアナミドを含む植物です。このシアナミドは、石灰チッソの分解時に生成される物質と同じで、多くの植物の発芽を抑制するため、果樹園や畑での雑草防止に役立ちます。

種まきは3月に実施して、4月下旬に土にすき込むと、トマトやナス、ピーマンなどの夏野菜の定植に適しています。しかし、発芽を抑える特性があるため、ニンジンやダイコンなど直まきする野菜には向きません。

また、窒素固定能力を持ち、土壌の肥沃化に貢献するマメ科作物です。秋にまかれるマメ科作物のなかでは生産量が多く、10aあたり約5kgの種子を圃場全体に散まき、草丈が30~40cmのうちにすき込むのがおすすめです。

2.クロタラリアネコブキラー(マメ科)

2.クロタラリアネコブキラー(マメ科)

参考:ネコブキラー|タキイ種苗株式会社

「クロタラリアネコブキラー」は、土壌の質を向上させるために有用なマメ科植物です。この植物は、根に共生する根粒菌が空気中の窒素を固定すると、作物に必要な養分を供給するため、次の作物の生育を助ける効果があります。

また、センチュウ類の被害を抑える効果も期待できます。クロタラリアは夏にタネをまき、成長させるのが一般的で、ラッキョウやニンニク、タマネギの収穫後の期間を利用して栽培するのがおすすめです。

7月中下旬にタネをまき、花が咲く前にすき込み、2〜3回耕うんして十分に分解させるとよい結果が得られます。その後、次の作付けにおいて元肥の窒素成分量を減らしやすくなります。

3.ソルゴー/ソルガム(イネ科)

3.ソルゴー/ソルガム(イネ科)

参考:ソルゴー|株式会社カクイチ

「ソルゴー」「ソルガム」は、吸肥力が高く、成長が速い緑肥として知られている植物です。根が多く発達し、土壌をやわらかくし、水はけを改善する効果があります。

粘土質や耕盤層のある土壌に対して有効で、アブラナ科の野菜の根こぶ病やネグサレセンチュウの予防にも使用されます。また、有機物を土壌に補給する能力が高く、窒素やカリの吸収力も優れているため、過剰な肥料成分の除去が可能です。

播種期は一般地で5〜8月、寒冷地では5〜7月が最適で、ナスなどのバンカークロップとしても効果的です。

4.大麦(イネ科)

4.大麦(イネ科)

参考:大麦、もち麦、押し麦、オーツ麦の違い:栄養素と特徴を徹底比較|もちむぎ村

「大麦」のなかでも、カバークロップとして利用される「らくらく麦」や「てまいらず」などの専用品種は、根菜類への被害を減少させる効果があります。これらの作物は、根菜類に被害をもたらすキタネグサレセンチュウの発生を抑制するだけでなく、雑草の成長も抑えます。

播種期は地域によって異なり、一般地では4〜6月、寒冷地では5〜7月が最適です。また、リビングマルチとしても利用でき、刈り取りの手間が不要なため、自然な雑草抑制効果と土壌の保護を同時に実現します。

5.ひまわり(キク科)

5.ひまわり(キク科)

参考:ヒマワリ(ひまわり/向日葵)の育て方は?種まき・植え方~収穫まで栽培方法を解説!

「ひまわり」は、キク科ですが、特有の特性により、農業分野で多様な利用法があります。ひまわりの根から分泌される物質は、土壌中の不溶性のリン酸を可溶性に変える役割を果たし、植物の栄養吸収を助けるのが特徴です。

このため、リン酸吸収が困難な火山灰土や寒冷地では効果を発揮しやすいです。さらに、ひまわりは深い根を持つため、土壌の透水性を向上させる効果もあります。

播種の時期は5月〜8月であり、成長すると農地に美しい景観を提供します。

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緑肥を使用する際の注意点は3つ

緑肥を使用する際の注意点は3つ

次は、緑肥を使用する際の注意点について解説します。

  • 十分に育ててから刈りとる
  • 緑肥をすき込んですぐに種まきしない
  • 野菜との混植は30㎝程度離して栽培する

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

1.十分に育ててから刈りとる

イネ科植物では穂が出始める頃、マメ科植物では花が咲き始める頃まで成長させてから刈りとるのが理想的です。刈り取りが遅れると茎葉が硬くなり、刈り取りが難しくなるだけでなく、土中での分解も遅くなるため、適切な時期に刈りとる必要があります。

また、後作の作付け計画に応じて、生育途中で刈るのも可能です。この場合、次の作付けまでの期間がある場合はすき込み、または刈った茎葉を敷き草や敷きわらとして活用できます。

2.緑肥をすき込んですぐに種まきしない

多くの緑肥は、ほかの植物の発芽を抑制するアレロパシー効果を持ち、雑草の成長が抑えられます。この効果は野菜の種子の発芽にも影響を与えるため、緑肥を土に混ぜ込んだ後は、約2週間程度種まきを控えるのがおすすめです。

これにより、野菜の発芽が円滑に行われ、健康な作物の成長が期待できます。緑肥の使用は、雑草管理だけでなく、土壌の改良や肥料効果の向上にも寄与するため、農業において有益な手段の1つです。

3.野菜との混植は30㎝程度離して栽培する

緑肥を野菜と混植する際は、植物同士の競争を避けるために、距離を保つ必要があります。さらに、緑肥の種類を選ぶ際には、草丈にも注意が必要です。

背の高い緑肥が日光を遮ると、野菜の成長が阻害される可能性があるため、野菜が十分な日光を浴びるように配慮しましょう。適切な緑肥の選択と栽培方法により、緑肥と野菜の両方が健康に成長し、土壌の改良効果も最大限に引き出せます。

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緑肥のおすすめでよくある3つの質問

緑肥のおすすめでよくある3つの質問

最後に、緑肥のおすすめでよくある質問について解説します。

  • 質問1.緑肥のやり方は?
  • 質問2.ヘアリーベッチの種まき方法や時期は?
  • 質問3.緑肥作物と堆肥の効果の違いは?

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

質問1.緑肥のやり方は?

緑肥は、作物の成長を助けるために利用される植物で、栽培方法は以下のような手順です。

  • 種まき

量が多すぎると発芽や発根が不良になるため、適切な量で均等に種まきしなければならない。また、地域の気候条件に合わせた時期に種をまくと、最大の効果を得られる

  • 生育期間

一般的な生育期間は3か月~半年で、根が十分に張る前に収穫すると、土壌改良効果を最大化できる

  • 収穫

緑肥作物を刈りとるか、そのまま土壌に戻す。たとえば、クローバーは牧草としても利用されますが、多くの場合はそのまま土に返す

  • 土壌への返却

刈りとった緑肥作物を土壌に返すと、有機物が増え、土壌改良効果が高まる。このため、根っこごと返すと、分解が進み、土壌の質が向上する

質問2.ヘアリーベッチの種まき方法や時期は?

ヘアリーベッチの種まきには、春と秋の2つの時期があります。春まきは3月〜5月、秋まきは9月〜11月が最適です。

春まきは雑草対策として有効で、秋まきは翌年の作物の土壌改良に役立ちます。発芽率が高く広がりやすいため、種は一箇所に集中せず広範囲にまくのがポイントです。

また、まいた後は軽く土をかけ、足やクワでしっかりと踏み固めて、種と土を密着させることで発芽率が向上します。また、雑草が残っていると、養分を奪われて種が発芽しない可能性があるため、除去しなければなりません。

質問3.緑肥作物と堆肥の効果の違いは?

堆肥は、ほ場の外で微生物により分解が進んだ有機物で、土壌中でゆっくりと分解が進むため、土壌の微生物への影響は穏やかです。一方、緑肥は新鮮な有機物で、土壌にすき込まれると微生物が急速に増殖し、すみやかに分解が進みます。

緑肥のすき込み後、発芽障害を引き起こすピシウム菌の活動を防ぐため、一定の腐熟期間を設ける必要があります。また、堆肥と緑肥では、養分のバランスが異なるため、それぞれの特性に応じた施用が大切です。

緑肥は根が深く伸びるため、下層土をやわらかくし、透水性を改善する効果もあります。これにより、主作物の根が広がりやすくなり、ほ場全体の水はけが向上します。

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まとめ

まとめ

本記事では、緑肥におすすめの植物や緑肥のメリット・デメリット、使用する際の注意点をご紹介しました。

緑肥を使用すると、土壌環境の改善や害虫の発生を抑制する効果が期待できます。さらに、化学肥料の使用量を削減でき、環境負荷を軽減できる点もメリットです。

しかし、生育は天候や土壌環境に左右されやすく、種子の購入や栽培管理にコストがかかります。また、周辺環境へ悪影響を与える可能性があるため、注意しなければなりません。

緑肥として使用できる植物には、それぞれ特徴や相性のよい植物、播種の時期も異なります。使用する際は、十分に育ててから刈りとり、すき込んで約2週間程度種まきを控えて、野菜とは距離をとって栽培するのがおすすめです。

なお、マルトヨコーポレーション株式会社は、農具・園芸の総合商社として、初心者用商品からプロの方にご満足いただける商品まで、幅広い商品を取り扱っています。マルトヨコーポレーション株式会社

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